病院を退院し、家で過ごすようになってから、食欲が戻り、昨日今日の区別がつくようになりました。しかし、薬を飲んだかどうかすぐに忘れてしまいます。これからも失うことが多くなるのかなと考えると悲しい気持ちになります。
トイレが一人でできない問題
病院での様子から要介護3という認定をもらったのですが、その時はそんなにひどい状態じゃないのに…と思っていたのですが、家に戻ってから規則正しい生活が乱れ、好きな時に寝る、起きる、食べる、さらに、運動はしないときているので、体力が落ちて、できていたことすらできなくなっています。
本人は、「もうすぐよくなるから、よくなったら家でもリハビリする」と言いますが、いつになったら始めるのやら…。
トイレに行くのがいちばんネックだったのですが、簡易ベッドが来て、簡易トイレがすぐそばに設置され、快適になったものだから、すっかりリハビリするという約束を忘れて、気ままに生活を送っていたのです。
ところが数日前に、トイレが終わってベッドに戻ろうとしたとき、足に力が入らず、そのまま床に座り込んでしまったのです。正座した形になっていて、片足を立てようとするのですが、それができない!本人はとても慌てたようです。みんなに抱えてもらってやっとベッドの上に座ることができ安堵した様子。
何もしないと、自分で動けなくなるということを身に染みて分かったようです。私が実母のリハビリに付き合っていますが、家の中でするリハビリには限界があります。やはり、デイサービスを利用して気分転換としっかりと体を動かして筋肉をつけることをしないと、日常生活に影響するということが理解できました。
末端が血行不良になる問題
家では、指先、足の先が血行不良で、いつも冷たい状態です。指先が痺れた感じがすると、伝えてきます。手を握り、温かくなるまで刺激し、同様に足先の冷たさも緩和しています。
自分でも手のひらを動かせば、血行が良くなり温まることが分かり、よく動かすようになりました。今まで左手の「結んで開いて」が殆どできなかったのですが、ゆっくりできるようになりました。髪の毛を手櫛で整えて、ヘアピンを止めている姿を見て、「やれば結果は出るのだ」と確信できました。
自分で髪の毛を整えたのだと、嬉しそうに話す実母がとても愛おしく思えました。「ここまで、手が動く」と頭の後ろ側を手で触ってみせたり、「グー、チョキ、パーが速く出せるようになった」と大喜びで実演してみせたり。
やはり本人自身に、「動かなくなったら困るから、リハビリやるぞ!」っていう意識がないと、本当の意味で、「寝たきり」に早く近づいてしまうように思います。その刺激をくれる場所が、デイサービスかもしれません。
脳機能を維持させることの難しさ
耳が遠いので、ホワイトボードでの筆談が楽しみの1つになっていますが、最近はメガネをしても見えづらいようです。四肢の運動も大事ですが、脳をしっかり使って考えることも大事。脳機能が衰えないようにすることも重要です。
この日は、筆算のかけ算・割り算をしたのですが、手順を忘れていて、なかなか思い出せず苦労しました。ちょっとショックだったようです。毎日脳のトレーニングも取り入れるようにして、回復を応援したいと思います。
こんなこともしましたよ。「お味噌汁を作るには何が必要ですか?」「炊き込みご飯を作るには何が必要ですか?」の質問に、一生懸命に考えて、よいところまでいくのですが、水や米がどうしても思い付かなかったようです。手順とか説明できるかが心配になってきました。次の機会に出題してみようと思います。
「体が回復したら畑に出たい」という希望をもっていたのですが、最近はもう諦めてしまったようです。歩けなければ、車いすがあるのに、「もうダメだ!生きていてもしかたない!」というふうに考えてしまうようです。そんなことないのに!
「車いすに乗って散歩に連れ出し、畑を見せる」
これが当面の私の目標です。見せるからには、草だらけでは申し訳がない。そんなわけで、お昼寝の時間を見計らって、私は畑の草取りをしています。とうもろこしの穂が出て、風に揺れています。そのすぐそばで、枝豆がたわわに実っています。実母に食べさせたいという一心の思いで、やったことのない畑仕事をやってきました。美味しそうに頬張る実母の姿が見たいのです。